「多様なはたらき方、生き方」に出合う、身近な旅先―清澄白河・リトルトーキョー
人が集まる場のヒミツ

「多様なはたらき方、生き方」に出合う、身近な旅先―清澄白河・リトルトーキョー

#コミュニティ #仕事・働き方

人気のあのお店や場所には、なぜ人が集まるのか? 連載企画「人が集まる、場のヒミツ」では、お店・空間づくりのポイントや、その背景にある想いやこだわり、そして魅力的なエピソードの数々から、「愛される場所」の秘密を紐解きます。


第5回は、昔ながらの風情と現代カルチャーが融合する東京の下町・清澄白河の小規模複合施設「リトルトーキョー」です。夜には多種多様な分野で活躍するゲストを招いてトークするイベント「しごとバー」が開催されています。人との交流を通じて自然と心が開放され、また訪れたくなるリトルトーキョーの魅力、そしてこれからについて、リトルトーキョーを運営する株式会社シゴトヒトの後藤響子さんと中野悟史さんにお話を伺いました。

縁によって紡がれ、育まれた「リトルトーキョー」

—2013年に虎ノ門でオープンし、2016年から清澄白河へ。昨年11月にリニューアルしたリトルトーキョー。改めてどんな場所なのか、教えてください。

後藤

この5階建てのビルをリトルトーキョーと呼んでいます。いろいろな生き方やはたらき方に出会える小規模複合施設として、2023年11月より再スタートしました。“City Local Little Tokyo”をコンセプトに、都市にありながら一人ひとりの顔が見える場所を目指しています。


現在1階は改装中ですが、ワインを楽しめる飲食店が入居予定です。2階は、自然に寄り添ってつくられる生産者さんの食材を活かしたレストラン『the Blind Donkey』さんのお店になっています。3階は自社の本屋とシェアバー。4階では、スクールプログラムなどを開催しています。


3階のシェアバーは、日中はコーヒースタンドとして運営していて。夜はいろんな分野で活躍している方をゲストとしてお招きし、お酒を飲みながら一緒に会話するトークイベント「しごとバー」を不定期で開催。2014年からスタートし、これまでに500回以上開催しているんです。イベントがない夜は「バー あのひと」と題して1日店長さんがバーを盛り上げてくれています。

「リトルトーキョー」の運営を担当する後藤響子さん(左)と中野悟史さん(右)

3階ではすでにさまざまな催しが開催されているのですね。

中野

しごとバーはもちろん、最近1日店長さんのバー営業がスタートしました。以前からよくご一緒していた編集者の方や、清澄白河でお店を営んでいる方、近くのシェアオフィスで働くライターさんなど、いろんな方が場所を盛り上げてくれています。店長さんめがけていらっしゃる方もたくさんいて。


いろんな魅力的な方が店長になってくれることで、新しいお客さんを呼び、その中から新しい1日店長さんが生まれて、また新しいお客さんを呼んで、新たな交流が生まれて……という広がりをつくっていきたいです。


日中のコーヒースタンドにも、常連さん、バリスタや焙煎士仲間の方に加えて、うちの社員がコーヒーブレイクにくることも。バリスタの中楯聡さん(アキさん)のコーヒーが本当に美味しいんです。

リトルトーキョーにはどんな方が集まってくるのでしょうか?

後藤

コーヒースタンドやレストランを楽しみにいらっしゃる方はもちろん、3Fは、私たちの運営している求人サイト『日本仕事百貨』の読者の方も多いです。


『日本仕事百貨』は、職場を訪ねて、仕事のいいところも大変さも含めてありのまま紹介しており、「生きるように働く」をコンセプトに運営しています。友人から紹介してもらったという方、テーマやゲストさんに関心を寄せる方もいれば、たまたまSNSで知って来てくれた方、学生さんに、顔見知りの常連さんも。フットワークが軽く、いろいろな考え方や価値観に自分から出会っていこうとされている方が多いなと感じます。

さまざまなはたらき方に触れられる場所に

—清澄白河の魅力も教えてください。

中野

僕自身は昨年まで奈良に住んでいて、約3ヶ月前からリトルトーキョーを運営する株式会社シゴトヒトにジョインし、清澄白河にやってきました。不思議と「奈良と似ているな」と思ったんです。昔ながらのお店や魅力的な個人店が多く、若い人も訪れる。新しいものを拒まず、受け入れてくれる街だと感じました。

後藤

下校中の小学生に花屋の店主さんが「おかえり」って声をかけていたり、秋には商店街で手作りのかかしコンテストがあったり。暮らしを身近に感じられる街だなとも思います。例大祭という伝統的なお祭りも熱気がすごくて。まだまだ知らないところがいっぱいで、一言では語れないような魅力があります。

—さまざまな人の交流の場として続けていくために意識していることはありますか?

後藤

いろんな方に関わってもらうことを意識しています。この街に暮らす方だけでなく、地域や職種、立場も超えて一緒に場をつくっていくことで、顔の見えるつながりを広げていけたらという思いがベースにあって。


細かいところだと、イベント「しごとバー」だったら、トーク後に参加者さん同士自由に話せる時間を設けていたり、バーだったら常連さんと初めましての方と会話をつないでみたり。接点をつくるようにしています。


先日は、福祉をたずねるクリエイティブマガジン『こここ』と『日本仕事百貨』の合同企画として「“ケアする仕事”の正直な話―はたらくリアル、つながる楽しみ―」を開催しました。看護師兼写真家として働く人、認知症のある人や発達障害のある人と演劇を作る劇作家など、多彩なゲストをお呼びしたところ、福祉の現場で働く方、ケアに興味・関心がある方から学生さんまで、たくさんの方が参加してくださいました。

しごとバー「“ケアする仕事”の正直な話―はたらくリアル、つながる楽しみ―」の回

(写真提供:株式会社シゴトヒト)

他にはどんなテーマがあるのでしょうか?

中野

たとえば、新しい挑戦が生まれ続けている離島、隠岐諸島について伺ったり、空間の企画や運営管理を通じた、心地いい場づくりについて伺ったり。ゲストさんごとにテーマはいろいろです。


中には求人と連動したしごとバーを開催することもあって。記事だけでは伝えきれない思いや働く人の雰囲気を、実際に感じていただく。しごとバーに参加した方がその企業さんに応募したり、新たなきっかけにつながった話もと聞いています。

後藤

メディアとリアルな場所があるというのは、リトルトーキョーの強みかもしれません。日本仕事百貨でもリトルトーキョーでも、私たちがこうあるべきと示すのではなく、いろんな生き方・働き方や人と出会って、自分の今を見つめてみたり、チャレンジしてみたくなったり。そうしたことにつながったらいいなと思っています。

しごとバー「なかった仕事の生まれ方―出会いの偶然を越えるところ―」の回

(写真提供:株式会社シゴトヒト)

清澄白河という街が醸し出す雰囲気とも似ている気がします。

後藤

清澄白河という文化が根付いた街に、たまたま縁があって私たちがやってきた感じなのですが、街の空気と共鳴して、さらに根付いていけたらと思っています。

集まる人によってつくられる心地よい空気感

お二人にとってリトルトーキョーは職場でもあります。社員としてこの場所はどのように見えているのでしょうか?

後藤

来てくださる方とお話しすると、すごく刺激をもらえるんです。しごとバーのゲストさんやお客さんのお話から勇気づけられることも多いですし、バーにクライアントさんが遊びにきてくださることもあって。職場でありながら、バーがあることで再会することができ、さらにその場に集った人同士が自然とつながれるのがリトルトーキョーならではの良さだな、と感じています。時間とともにこの場所への愛着もわいてきますからね。

中野

愛着でいうと、3階の本棚は後藤さんが作ったんですよね?

後藤

そうそう(笑)。メンバーと一緒に「LIFE BOOKS &JOBS」という選書のコーナーをDIYで作りました。ここは「誰かの人生を変えた本」を集めて紹介する本屋です。求人を掲載している企業さん、スクールやしごとバーでご一緒してきた方、『日本仕事百貨』の編集者たちが選んだ本を置いています。選書コメントもあるので、気になる本を手に取って楽しんでもらえたら嬉しいです。


改装工事に携わる方たちの姿も身近に見ながら、ときには自分たちでDIYもしてつくってきた場所なので、もっと良い場所にしていきたいという気持ちが自然とわいてくるんですよね。

中野さんはここで働き始めて約3ヶ月とのことですが、いかがでしょうか?

中野

すっかり馴染みました。僕にとってもすでに心地よい場所になっています。あと常連さんやイベントのゲストさんと交流する機会も多いので「こういう働き方もあるんだ」と教えてもらえる場所がリトルトーキョーの良さだと実感するんです。


僕自身はイベントの企画・運営に携わっているのですが「リトルトーキョーを良くするために!」とものすごく気合いが入った働き方よりも、ここに集まるみんなが楽しんでいく中で、自然と心地よさが生まれてくるような空気感を大切にしています。みんなで一緒に作っていく、そんな場所だと思います。

ひとりひとりの想いや考えをつないでいきたい

―リトルトーキョーは、多様な価値観を知ることができる場所なのかもしれませんね。旅に出た感じと似ているというか、刺激を受けつつホッと安らげる場所のように感じます。

中野

世の中の価値観は日々変わっていきますが、『日本仕事百貨』のコンセプト「生きるように働く」は、変わらずに発信し続けてきたことです。この場所が私たちの職場であるのはもちろんですが、コンセプトに共感した企業さんがイベントをしたり、バーにふらっと遊びにきてくれたりすることで、リトルトーキョーを訪れた人も『日本仕事百貨』のコンセプトを感じてもらいやすくなるのかもしれませんね。


「世の中にはこういう生き方・働き方があるんだ」「私もこんな風に生きたい、働きたい」といろんな考えや思いに触れることで安心できるのだと思います。

今後やってみたいことや新しい取り組みがあれば教えてください。

中野

3階のスペースをより楽しく、人の交流が生まれる場所として稼働させていきたいですね。ただ運営するだけでは交流が生まれないので、人と人とをつなぐ仕組みは必要だと考えてます。


いい意味で想像を超えてくるようなコラボレーションとか、偶然居合わせたお客さん同士で「これって面白いんじゃない?」と思ったことが実現するとか、思ってもいなかったような出会いや交流がうまれる場所にしていきたいですね。

―店内では、さまざまなワークショップも開催されているそうですね。

後藤

本屋「LIFE BOOKS & JOBS」も、少しずつ選書に協力してくれる方が増えて来て。それぞれの背景に触れられるような本と言葉が集まっています。たくさんの方に知っていただけるように、イベントなどもしていきたいですね。

PROFILE
川村健一

後藤響子、中野悟史

株式会社ヒトトヒト「リトルトーキョー」運営

いろいろな生き方・働き方に出会えるイベント「しごとバー」の運営をはじめ、「リトルトーキョー」内でのさまざまな催しや企画に従事。直近では「誰かの人生を変えた本」を紹介する本屋「LIFE BOOKS & JOBS」を開設した。リトルトーキョーは、2013年虎ノ門で開業し、16年に清澄白河へ移転。1〜2階は飲食店、3階には本屋とコーヒースタンド、夜は「しごとバー」を開催する。4階はイベントスペースで、5階が事務所。


ウェブサイト:https://www.littletyo.com/

CREDIT

ライター:つるたちかこ 撮影:塩川雄也 編集:モリヤワオン(ノオト)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

¥0,000

PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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